2013年06月07日

入札

今日は設計業務の入札がありました。
正確に書くと電子入札の開札の立会いです。

こう書くとますます分かりにくいですね。

和歌山市の仕事で
【伏虎中学校小中一貫校建設工事設計業務】
という設計業務の入札がありました。
小中一貫校の設計をする仕事です。

これが何と設計料137,997,000円!
1億円以上です。工事費ではないですよ、設計料です。
まあこれだけの額なのでそれだけ大変な設計なのですが。

設計も工事みたいに入札で決めるの?と思われる方も多いと思います。
最近では国立競技場のデザインコンペなんかがありましたが、
地方都市ではああいうのは極稀です。
ほとんどの場合設計料の入札です。
物件によって、参加できる設計事務所の規模や実績の資格審査のようなものはありますが、
どんな建物にするかはどうでも良く、とにかく設計料の安いところが受注し設計します。

設計なんてものは時間をかければかけるほど、
考えれば考えるほど良いものにブッラシュアップされていくので、
設計料が安けりゃいいというのは、あまりにも乱暴な考え方でとても先進国とは思えません。
頭の中身をひねり出すことを仕事にしている人には、
それなりの正当なフィーを支払わないとね。いいものできないし、文化なんて育たないよね。

和歌山県や和歌山市の場合、
役所は設計料の予算を提示して、その最低制限価格を決めます。
これ以上安く入札したら失格ですよ、というラインです。
これを下回ると品質の確保が難しいということになっているラインです。

で、今回の和歌山市の場合、
予定額が上に書いたとおり、
¥137,997,000で、

最低制限価格が
¥106,340,000です。

予定額は国の指針に計算式があるのでそれに則ってある程度機械的に算出されます。
大体予定額の77%が最低制限価格です。

このままだと、当然みなさん¥106,340,000で入札しますよね。
何社も何十社も同じ額になってしまいます。
なので、最低制限価格に係数をかけて、最低制限価格を微増減させます。
前後1%位で振ります。

つまり、今回の場合だと、
¥106,340,000を基準の最低制限価格として、

¥105,276,600 ~ ¥107,430,400
の間で最低制限価格をコンピュータでランダムに変動させます。
当日にならないとわからないわけです。
コンピュータでがくじを引いているようなものです。
で、発表された最低制限価格を上回って一番近い人が落札です。
いくら近くても下回ると失格なのです。
(書類の不備でもないのに失格てなんやねん、
たまたまコンピュータくじで外れただけやなのに失礼やなといつも思いますが)

これを事務所にいながらパソコンで入札します。電子入札です。
開札日に役所でコンピュータを使って最低制限価格を算出します。
最低制限価格がいくらになるかはその時まで誰も分かりません。

これは和歌山県の設計の仕事もだいたい同じです。
あの県立の高校の校舎の設計も、あの体育館も、
あの市立の中学校もこんな感じで設計する人を決めていきます。
運頼みです。

で、結局、1億円の仕事どうだったかというと、
ダメでした。
今年の4月からだけでも、和歌山県の仕事だけで20件以上このようなシステムで入札してるのですが、
一度も取れてません・・・。

う~ん、くじ運悪し・・・。
お祓いでも行こうかなあ。

出身中学校だったから設計したかったなあ。  


Posted by 田渕設計 at 22:54Comments(0)キダ